熱中症は梅雨明けの7月から8月に多発する傾向にありますが、近年では5月から気温の高い日が多くなり、熱中症の患者が増えてきています。令和4年(2022年)の人口10万当たりの熱中症による救急搬送人数は、熊本県は89.40人で全国4位でした。
(1位 鳥取県99.75人 2位 鹿児島県97.84人 3位 大分県91.47人)
●熊本県の熱中症情報(日本気象協会ホームページ)で、毎日の県内の熱中症危険度が確認できます。


今後も暑い日が続きそうです。環境省と気象庁は熊本県を含む22都府県に熱中症警戒アラートを発表し、エアコンを使って室内を涼しい環境にして過ごすほか、こまめな水分補給などを呼びかけています。
事故を未然に防ぐために私たちができることは??
■ 子どもが閉じ込められても…ロードサービスの到着を待つ母親
県内で 0歳と2歳の女の子がエンジンが切れた車の中に約1時間閉じ込められ、熱中症の疑いで病院に運ばれました。 2022年8月30日午前10時ごろ、母親が施設の従業員に助けを求めました。
車に子どもたちが取り残され20分、当時子どもの様子を目撃した人は
目撃者「ものすごく泣いていて。開けてって感じで窓を一生懸命押していた」
その後、消防が駆け付けましたが、母親は「ロードサービスでカギを開けてもらいたい」と到着を待ち、消防は窓を割れないまま時間が過ぎていきました。
目撃者「顔が高揚して、丸い汗が噴き出して髪の毛がべったり頬にくっつく感じで。今まで見たことないくらい苦しそうだった」
■消防はすぐに窓を割ることはできない
閉じ込められて1時間後、到着したロードサービスによってカギが開けられましたが、女の子2人は熱中症の疑いで病院に運ばれました。
救助に当たった消防は、母親と協議してロードサービスを待ち「これ以上容体が急変したら割る」と伝えたということです。
–消防の判断ではすぐに窓は割れないのでしょうか?
熊本市消防局によりますと「原則、所有者の承諾がないと壊すことができない」とのことです。
一方、呼びかけに反応がないなど緊急性が高いと判断した場合、承諾なしで割ることもあります。 ただ、明確な基準がないため判断は難しいということです。
JAFは真夏の炎天下で車内温度がどのように変化するのか、テストを行いました。8月の晴天で外気温35℃の状況下において、昼12時から16時の4時間、車内温度を測定しました。窓を閉め切った車両(黒色のボディ)では、エンジンを停止させてわずか30分後の12時30分頃には車内温度は約45℃を記録。その後も上昇を続け、15時頃には55℃を超えてしまいました。車両の窓をそれぞれ3㎝程度開けた状態の車両では、30分後の車内温度は約40℃、15時の時点では約45℃と若干の低下がみられましたが、それでも車内に留まるには厳しい車内温度になることが分かりました。
JAF(日本自動車連盟)は締め切られた車内の危険性を指摘します。
「目安とし15分程度でもう危ない。(15分で)40度近くなることもあるので、体温調整のききにくい子どもや高齢者は、短い時間でも命にかかわることがある」
電子キーが原因とみられる車内閉じ込め事故は多いことから、
JAFでは「カギは自分で肌身離さず持つ」「子どもがおもちゃとしてカギを欲しがっても与えない」と呼びかけています。
